ヤスケンこと安田顕のゲスっぷりと狂気がすさまじい。
不器用でずるくて器の小さい岩男の、悶々とした苛立ちを、この人はなんと見事にゲスとして演じてみせるのだろう。
「俺はなぁ、300万払ってんだぞ。オマンコさせろぉ!」
と絶叫するシーンなんか、もう人間のクズにしか見えない。そこがいい。
また、それに輪をかけて良かったのが、木野花とアイリーンの喧嘩シーン。
二人は言葉が通じないなかで、憎悪をむき出しにして、ののしり合う。
その熾烈さは、観ていて怖くなるほどだ。
どこまでいっても報われない。
ただただ、岩男の歪んだ愛情だけが浮き彫りになってくる。
その愛が唐突に終わりを迎えた後は、ツルとアイリーンの歪な関係が残る。
残酷なまでに救いのない映画だ、と思った。
エグい。