ひこくろ

狂った一頁のひこくろのレビュー・感想・評価

狂った一頁(1926年製作の映画)
3.4
前衛的な映画って何なんだろう。

チカチカした場面に踊り狂う女の姿。
冒頭からほとんど意味がわからない。そしてこれが延々と続くいていく。

精神病院に入院させられた女と、彼女を心配するたぶん夫の話。
というのは想像がつく。でも、それ以上のことはまったくわからない。
何も説明されないからだ。
モノクロの映像に台詞は一切なし。
なんとなくわかるようなシーンはあるものの、やたらと実験的なシーンが混じるのでまたわからなくなる。

前衛的な映画にも、わかりやすい(理解できる)シーンは必要だろう。
そうでないと、対比して、それが前衛かどうかもわからなくなるからだ。
でも、この映画はそれをしない。ひたすら前衛的な映像を流し続ける。

正直、途中で何度観るのをやめようかと思ったかわからない。
それでも観続けてしまったのは、独自性(オリジナリティ)と衝撃だけは確かにあるからだ
ある意味、それを追い続けるためだけに観てしまったと言ってもいい。

もちろん、時代的な理由もあるのだと思う。
なんたって、これは大正時代の映画なのだ。
だとしても、サイレントならではの字幕を入れたりすることはできたはずだろう。
それを入れるだけで、印象はまったく変わったと思う。

とことんまで前衛的な映画なのかもしれない。
だとしても、僕はそれを面白いとは思えない。
変な物を観たい、普通では物足りない、って人にはおススメできるのかもしれないな、と思った。
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