キナ

愛しのアイリーンのキナのレビュー・感想・評価

愛しのアイリーン(2018年製作の映画)
4.0
岩男を中心とした小さなエピソードを並べた、4コマ漫画集みたいな映画だった。
親の強すぎる愛の圧を受けて変な方向へ流れてしまった中年男の大暴走ってところか。
田舎の閉塞感というより、田舎の狭い世界の中で拠り所を求めて激しくもがく大人たちの案外有り余るパワーを感じた。

でてくる人物が揃いも揃っておかしなヤツばかりで、話の展開やポイントもクセだらけ。
下ネタもバイオレンスも掛け合いの会話も独特だけど生々しくコミカルで、かなり笑えた。
下品な言葉を叫びまくり女を求める岩男の姿には流石に引いたけど。そんなにやりたいかね…

無邪気だけどきちんと人を見ているアイリーンがいちいち可愛い。
たどたどしい日本語とクソババア呼びが大好き。
岩男の母はだいぶヤバいし絶対自分の親にしたくないタイプだけど、見てる分には面白くて結構好き。
子供のことを思い過ぎる余りのいつまで経っても過保護が止まらない行動も、その過程を考えるとなかなか憎めない。
それがなければ岩男は今頃もう少しマシになっていたかもしれないとは思うけどね。

訛りが結構あるのとフルスロットルで話が進むので展開に付いていくのに必死になるけど楽しかった。
岩男のことを全て理解することは出来ないけど、アイリーンと少しずつ好きになり合っていく過程が好きだった。「おめぇ、綺麗だな」のシーンがお気に入り。

愛なんて無い方が楽なのか、愛があれば幸せなのか、愛をどう手に入れるのか、手に入れた愛をどう扱えばいいのか、何も分からなかった不器用すぎる岩男と共に考えたくなる、ちょっと変な映画だった。楽しかった。
キナ

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