Inagaquilala

愛しのアイリーンのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

愛しのアイリーン(2018年製作の映画)
3.7
「ヒメアノ〜ル」、「犬猿」の吉田恵輔監督ということで、期待していたが、何か物足りないものが残った。主演の安田顕もいい、好きな河合青葉も珍しくキーポインとなる役で出演している、この作品ではヒールとなる伊勢谷友介も悪くない、物語の運びも予定調和ではなく嫌いではない、なのに、なぜか、前2作品とは異なる、作品への手離しでの感心がない。たぶん、それはアイリーン役のナッツ・シトイと主人公の母役の木野花への違和感のような気がする。どうも作品に溶け込んでいないのだ。

42歳でフィリピンに行って花嫁を探して来た男が主人公なのだが、この男の内面は痛いほど理解できる。ただそれに関わる、嫁と母の心情があまりにも底が透けてしまうのだ。演技の質にもよるのかもしれないが、どうも周囲の役者とのズレをどうしても感じてしまう。役者の演技を大切にする吉田恵輔監督にしては、やや不思議な感じもするが、その違和感が最後まで付きまとった。なので、ラストのカタルシスもいまいちだった。ただ、浜口竜介監督の作品で、どちらかというと取り澄ました演技を得意としていた河合青葉が、わりと俗な役柄を演じていたのに、好感を抱いた。この女優さん、やはりいい。
Inagaquilala

Inagaquilala