Sasada

来るのSasadaのレビュー・感想・評価

来る(2018年製作の映画)
3.9
「それ」がなんだか分からないけれど、
とにかくそれと戦わなければならない。
痛みを感じながらも、その原因がなんだか分からない。

会社でも学校でも家庭でも、私たちの毎日はきっとこんなもん。

はっきりと「敵」「邪魔」と認識できるものなら対策も打てるし無理なら無理で諦めもつく。
でも、学校の空気とか職場の慣例とか、社会的な圧力はそんなにわかりやすく出来ていない。

味方が敵になり敵が味方になる。思いもよらないところからナイフが飛んでくる。
ポップでダークに描いているけど、中島監督がつくった世界はまさに私たちの日常。

そんな危険だらけの世界でも、「痛みを感じるってことは生きてるってこと」
みんな「弱くて脆い」けど、「あなたが生まれて来た時みんな嬉しかったんだよ」ってこと。

私たちの戦場は、イクメンパパのブログみたいに綺麗で整っていて論理的な世界じゃない。
だからこそ、愛し愛されることが武器に、自分を写す鏡になるってこと。

グロテスクな描写をめくると、中島哲也の優しさが透ける一本。
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