健全なホラー映画(怖いだけの娯楽)と思ったら、ネットの掲示板で近所の三面記事みたいな事件のいや～な真相を知っていや～な気分になったみたいな。
ホラーのメタファーってちょいとまぶすから奥深い味わいを醸し出して「ゾンビ」や「イット フォローズ」みたいになるところを、本作はモザイクなしのモロ出しみたい。自己主張強すぎてホラーが味付けみたいに逆転している。けれど中島哲也監督には王道なんて期待してないし変化球を望んでいるのでこれはこれでよし。前半なんてクソみてぇな現代だな!のような悪意ある描写のオンパレード。ネットでワンクリックで幸せが買えるみたいな密林のCMのようなシーンは監督怒ってるなと感じてしまう。幻に終わった「進撃の巨人」って出来上がってたら真っ黒な映画になってただろうな。
でいて陰気な映画でなくて珍しく役者さんのお芝居が面白いと思える映画でもある。主要メンバー五人がそれぞれ主役張れる贅沢感。他の映画の出演時がA面とするならば今回は全員B面の引き出しの多さを見せつける。
岡田准一さんのこれまでの優等生ぶりを払拭するかのような小汚い背の低い役は「超ひらパー兄さん」を今後も応援したいと思わせる親近感あるし、小松菜奈さんはラブコメ要員でなくてもっとポテンシャルあるよねと再認識させてくれるし、松たか子さんのベンチで足を広げて座る姿になぜか和田アキ子的男前を感じ新たな魅力をみせてくれる。
柴田理恵さん込みの最後の「お祓い」もこれがジャパニーズエクソシストの底力や!みたいに世界にアピールしてるかのような頼もしさもよい。
鑑賞中後ろの方でまた変なおっさんが気色悪い音出してらぁと思ったら音響効果なのはなかなかよい。
こけおどしのようなオープニング映像は「カッコイイ」ではなく笑うところなんやろなあ。
