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半世界のlpのレビュー・感想・評価

半世界(2018年製作の映画)
3.6
東京国際映画祭にて鑑賞。

コンペ13本目は観客賞を受賞した『半世界』。観客賞受賞作上映会にて鑑賞。阪本順治監督によるヒューマンドラマ。

海辺の田舎町で家族と暮らす製炭職人の男の物語。ある日、幼なじみ3人組の1人が町に戻ってきたことから、物語は動き出す。
リアリティをベースにしながら、時おり虚構を織り交ぜ、主人公が抱える生活の問題と、田舎町に戻ってきた幼なじみが抱えるトラウマを並走させる。周囲の声に耳を傾けなかった主人公は家族と向き合い、幼なじみはトラウマから解放されゆく。
その果てに辿り着く合流地点。映画は「死」と隣り合わせの戦地も、田舎町での暮らしも、何れも「世界」であると語りかける。

主人公を演じた稲垣吾郎、主人公の幼なじみを演じた長谷川博己と渋川清彦、そして主人公の妻を演じる池脇千鶴。4人のキャストによるアンサンブルが素晴らしい。
これまでに観たことがない稲垣吾郎の姿に驚きつつ、陰を抱える長谷川博己も好演。そして渋川清彦と池脇千鶴という抜群の安定感を誇る2人が、脇をしっかりと固める。見事な布陣だ。

主題を台詞でダイレクトに語り過ぎる点はイマイチだったけれど、見応え充分の良作でした。
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