甘口映画

半世界の甘口映画のレビュー・感想・評価

半世界(2018年製作の映画)
3.5
稲垣吾郎さんのことをそれほど詳しく知っているわけではないけど、(SMAPとそのすごさぐらいは知ってるさ、こんなオヤジでもw)
私が今まで知っている稲垣吾郎さんのイメージとは違う役で惹きつけられました。

ちょっとぶっきらぼうで、少しだけ現実から目を背けたり、それでいて旧友のことをほっておけない熱さがあって。
なのに息子とは関わろうとしなかったり、
妻の話を最後まで聞かずに声を荒げたり。

幼馴染たちとの会話や、義父とのやりとり、そして妻である初乃との日常が面白くて、昭和のホームドラマみたいでした。

軽ワゴンで仕事に行く絋、お弁当のご飯の上の「メッセージ」を箸でほぐすように混ぜるところ、伝票整理の合間にたばこを一服する初乃。
何気ないシーンがなぜか心に残ります。
誰にでもあって、誰もが気に止めないシーンを丁寧に見せてくれる作品だなと思いました。

特に大きな事件とか、突拍子もない設定があるわけじゃないんだけども、かえってこういう話っていつまでも見ていられるし、いつまでも観ていたくなりますね。

絋の仕事を手伝うことでその大変さを知り、明とご飯を食べながらそのすごさを伝える瑛介のシーンも良かったです。
強引にビール呑ませようとしてたのは笑いましたがw


『半世界』とは人生折り返しの年齢に来た男たちの残りの人生であったり、
自分だけの目線で見えている世界も他人からしたらもう半分、別の世界があったり、
ずっと連れ添った相手がいなくなることによる世界が半分欠けてしまったことでもあるのかなと思いました。

どれも日々暮らしている中で忘れちゃいけないこと、失くしてしまいたくないことだと改めて思わせてくれる作品でした。
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