Inagaquilala

芳華-Youth-のInagaquilalaのレビュー・感想・評価

芳華-Youth-(2017年製作の映画)
4.0
F・スコット・フィッツジェラルドの小説「グレート・ギャッビー」は、隣人であり、友人となるニック・キャラウェイがギャッツビーについて語るという形式で物語が進んでいくが、この作品の登場人物でもあるシャオ・スイツも、そのような立場から、彼女の回想というかたちで、1970年代の文化革命の時代、歌舞で軍隊に貢献する文工団に集められた若者たちが、その後に辿る道程が語られていく。主人公は模範生でありながら、前線に駆り出されていくリウ・フォン(「空海 KU-KAI 美しき王妃の謎」のホアン・シュアンが演じている)、彼の叶わぬ恋の行方と彼を慕う女性ホー・シャオピンとのすれ違いのドラマが展開していく。

正直言って、文化革命の時代に、こんな眩しい青春があったのかと思うほど、文工団での集団生活は美しく描かれていく。監督のフォン・シャオガンが、文工団の出身ということもあり、歌と踊りのシーンは実に印象的だ。そして、なにより監督はプールのシーンにこだわりがあるようで、まさに青春のときめきがここには凝縮されている。一種の群像劇でもあるのだが、人物描写が的確なために、さまざまなシーンが目に焼きつく。文化大革命から北越戦争、激動の時代をバックに、運命に翻弄されながら生きた人々のドラマには心動かされる。後々考えると、最初に出てくる敬礼のシーンが、その後の主人公の悲劇を増幅させる。ラストシーンはとくに印象に残った。
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