mimagordon

ライスフラワーの香りのmimagordonのレビュー・感想・評価

ライスフラワーの香り(2017年製作の映画)
4.6
車の内と外、散らばったスナックとそのまま渡される卵。この冒頭で瞬時に引き込まれた。家族を養うために出稼ぎに出ていた母と、久しぶりに会う娘。故郷に戻ってきたはずなのに、服装も佇まいもどこか浮いているイエナン。迎え入れる人たちも戸惑いを隠せない。それは娘のナンハンも同じ。都会の匂いが消えない母と、疎遠になっていた寂しさで食い違う。村もまた変わろうとしていた。結婚して嫁に出る人、そして大切な人を失う喪失感。どこか共通する想いが親子の距離をそれとはなく縮めていく。ラストシーンの美しさに、村での日々と主人公となる親子への深い愛を感じた。静かにじんわりと、心に沁み入る傑作。

音楽は鈴木慶一さんが手掛けてるのね。サントラを探したけれどフリマやオークションでしか見当たらない。映画祭の時に配られたものなのかしら? 情景とすごくマッチしていただけに、記憶がフレッシュなうちに聴きたいものだが...。
mimagordon

mimagordon