ちろる

物ブツ交換のちろるのレビュー・感想・評価

物ブツ交換(2018年製作の映画)
3.4
2018年に作られたとは到底思えない、遠い昔の御伽話のような話。
でも、実際ジョージアを舞台にしたドキュメンタリーなんだよね。
物売りをするゲラはさまざまな安価な雑貨をジャガイモと交換する。
硬貨は受け取らない。

すっごい寒そうなこのツァルカ地区は、どの農家も広大な敷地でジャガイモを栽培して、しかしながら、貧しい適当な貯蔵も出来ないので、余らないようにその大量のジャガイモを通してゲラから物を買う。
村の人々はそんなにめったに街で買い物はできないからこじんまりながらも完全に商売が成り立つ。
携帯でポチッとしたら次の日に物が届いちゃう完全なる資本主義の申し子となった私には到底想像もできないすごいスローライフ。
彼らの姿を時代に取り残された人々と捉えるか、それとも複雑になりすぎた経済の仕組みを今一度見直すためのきっかけと捉えるのかは鑑賞者に委ねられている。
ドキュメンタリー作品としては淡々としてとにかく刺激は少ないけど、広大なジョージアの自然を堪能できる、これらの映像と素朴な彼らの営みを拝むだけでも価値があると思う。
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