今ではない“いつか”
ここではない“どこか”
私ではない“だれか”
彼らにとってはそれが高校時代であり、東京であり、椎名くんなのだろう。
所詮はないものねだりだけど、誰もがその憧れを持っている。(完璧に見える椎名でさえ、きっと。)
そしてこちらがどれだけ憧れようが、その対象はどこまでも素っ気ない。
東京には椎名くんはいないし、椎名くんはこちらの名前も覚えていないのだ。
描きたい世界は推測できるけど、それが全然見えない。
無味無臭で凡庸な映画という域をでない。
東京も椎名くんも高校時代も魅力的じゃないし、田舎の暮らしがそんなに退屈に見えない。
登場人物も多いから、誰一人として共感できるほど突っ込んで描けない。
ストーリーのまずさと長回しのロングショットが相まってなんども時計を見た。