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ここは退屈迎えに来てのeyeのネタバレレビュー・内容・結末

ここは退屈迎えに来て(2018年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

"ここは退屈迎えに来て(2018)"

"こんなはずじゃなかった"日々
ここではないどこかを
求める人々の物語

と但し書きが付いている

『ここじゃない』

『あなたじゃない』

『それじゃない』

否定の言葉だらけで
常に目線が後ろにある

2012年に刊行された
山内マリコ氏の同小説を
読み返し改めて思うのは

今と向き合えずに

"大人の寂しさ"

みたいなものをやっぱり感じる

何かを目指してた人にとって
自己投影させられるような
ある種トラウマを植え付けられる

(もちろん)人によるけど

20代前半から20代中盤くらいは
やりたいことを情熱を持って
真っ直ぐ進む人が多い

夢を叶えるため
何かになりたくて
必死に動く

男性にしろ女性にしろ
年齢が上がっていくと
分かれ道に差し掛かる

就職や転職・家庭を持つ・結婚や出産...etc.

はたまたこの物語のように
東京から地元に戻るとか

地元を出て行くはずだったのに
どこにも行けなかったとか

退屈な街の閉塞感もあるけど

自分の中にある閉塞が
現実を現しているだけとも言える

自ら選んだはずの選択に

「ホントにそれでよかったのか?」

と常に疑念を抱いてたり

そうじゃなかったはずのことを想像しつつ、常に過去のことを思い起こす

今の自分と昔の自分を重ね合わせてぐるぐるループする

物語はみんなのヒーローだった椎名くんに対する幻想が高いわけだけど

実際の椎名くんはもはやオーラがなく冴えない男に成り下がってる

でもそれも人生の一部と考えられる

この作品が教えてくれるポイントは

"昔は昔"

"今は今"

その頃の楽しさや気持ちは消えないで記憶に残り続けている

それが必ずしも今とは一致しない

ということを教えてくれる

気持ちの向き合い方を
どう捉えるのか

今の退屈と思える時間の中で
自分と向き合っていく

そこに前に進んでいくことの
大切さが潜んでいる

今まで大人の青春を
感じ取れなかったけど

この作品を観て
「別の次元にある青春が存在するんだな」って思えた

かつての自分を凛とした姿で
乗り越えていけば

もう"幻想"を感じなくなって

"影"を感じなくなる

その難しさはあるけど

それを超えて行くと

"今を生きられる"
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