Violet

ヘレディタリー/継承のVioletのネタバレレビュー・内容・結末

ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

美しい撮影地、こだわり抜かれた家具や小物、今回要となるミニチュアハウスなど、映像の節々から監督のセンスを感じる!
ミニチュアハウス内のピーターの部屋に向かって映像がズームしていき、画面いっぱいピーターの部屋になったところでリアルなピーターの部屋に切り替わるという印象的なオープニングや、夜から朝に一瞬で切り替わる撮り方等の魅せ方も◎。
悪魔を召喚するための儀式として象徴的なトライアングル(三角形)がモチーフとしてよく登場していたのも印象的。

めちゃくちゃ怖かった。です。
初っ端チャーリーが亡くなってしまうシーンが本当に無理すぎて何ヶ月も引きずってる……。
チャーリーは可哀想だしピーターも辛いし…。チャーリーの遺体を発見した時のアニーの悲痛な叫びが辛すぎた。
あともう終盤で天井に張り付いてたアニーがマッハでピーターを追いかけてくるシーンが怖すぎたよ!!

⚫︎ペイモン復活
エレンは、実の息子のチャールズの肉体でペイモン復活を計画していたが、チャールズは統合失調症で首吊り自殺をしてしまったためペイモン復活の計画は失敗に終わる。
次に目をつけられたのがアニーの子供であるチャーリー(ピーターは父のスティーブがエレンに近づけないようにしてたと映画内で説明があったので、ターゲットにならなかったものと思われる)。チャーリーはチャールズの代わり、つまりエレンは今度はチャーリーでペイモン復活を考えていた。
※一般にチャーリー(Charlie)はチャールズ(Charles)のニックネームとして使われることが多いことからも、チャーリーにチャールズを重ねていることがわかる。
エレンは、チャーリーがまだアニーのお腹の中にいて性別がわからないうちにペイモン召喚の儀式を取り行ったため、チャーリーの中にはすでにペイモンが宿っていた。けれどチャーリーは女の子だったためペイモン復活のために男性の肉体が必要となり、そこでピーターがターゲットになった。
=「チャーリーの中にあるペイモンの精神」と「ピーターの肉体」がペイモンの復活に必要だった。

⚫︎Hereditaryという原題
とにかくこの映画で感じたのはどうしようもないやるせなさ…。
アニーは家族が壊れてしまうことを本能的にわかっていて、だからこそ無意識下の夢遊病時に大切なピーターとチャーリーと一緒に心中しようとしたのだと思う(チャールズが自分の身を守るために自殺をしたのと同じ)。
アニーは家族を心から愛していて守りたいと強く願っていたのに、チャーリーは無惨な死を遂げ(ペイモン復活のために首を捧げる)、家族との関係はどんどん険悪化していく。足掻いても足掻いてもまるで「宿命」かのように悪い方に悪い方に向かっていく様子が見ていてとても辛い、けどこの魅せ方がえげつなくうまい。

原題のHereditaryには親譲りの、先祖代々のという意味もあるが、まさにこの家(エレンの子供)に生まれてしまったが故の逃れられない運命を示唆しているようだ。
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