ろく

フード・インクのろくのレビュー・感想・評価

フード・インク(2008年製作の映画)
3.6
そろそろ気づかないといけないんじゃないかな。企業の行う「資本主義」とSDGs的なものは実は共存できないんじゃないかということ。

ここにあるのは企業が自分のいうことを聞かないなら容赦なく切り捨てること。恭順が破滅か。それをそろそろ気づかないといけないよね。

特に企業のいうことを聞かずに訴えられるものが出てくるシーンは圧巻。これアメリカだけではないでしょ。「だからアメリカは」って日本も同じだって。セブンイレブンのいうことを聞かない店長はどうなったっけ。企業の名の下に人間としての尊厳まで奪い取ってしまうじゃないか。

そして恭順のあとは効率化というひたすらコストカット。ここでコストカットはぎりぎり法律の範囲内ならよしという動き。そう、企業は集団で動くから全体が見えない。そして責任も見えない。だから無責任の体系になってしまう。「だって会社がやっているんだもん」この言葉はどこでも聞くじゃないか。「MINAMATA 」だって「新聞記者 i」だってそれは観なれた風景だよ。そしてその見慣れた光景はこの映画でもなんだ。そしてそのコストカットの結果「ひたすら気持ち悪い」ものになる。

映画だからセンセーショナルな「画」を持ってくるけど、少なくとも考える材料にはなる。養鶏場のシーンはほんとにきつい。これは「生物」ではない。何か食肉の「工場」なんだ。そしてそこの中で蠢いている「モノ」の異形さ。でも日本だって同じじゃない。ファミチキは?ナゲットは?セブンの揚げ鳥は?から揚げ君は?僕らは「知らない」だけだよ。

最後の訴えはこの映画の必死の説得だけど残念なながら僕には響かなかった。そんなことが何の役に立つだろうと感じた。でも訴えるしかないのだろうか。少しでも言い続けるしかないのだろうか。だとしたら僕は間違っているだろう。たしかに。少しでも訴え続けるしかない。そして訴えを茶化してはいけない(どうも日本はその風潮がある)。ただ訴えはその方向でしかベクトルが動かない。それよりも必要なのは「知ること」なんだ。少なくとも「知ったら」少し気が変わると僕は信じている(甘いだろうか?)
ろく

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