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ロミー・シュナイダー ~その光と影~のTOTのレビュー・感想・評価

3.5
‪ロミーと女友達と記者とカメラマン、静養地での3日間の取材を通じて伝説の女優の苦悩が浮かび上がる。
メディアの欺瞞とあらゆる搾取、自己顕示、弱り切った彼女を現世に繋ぐ命綱のような人々との交流。
亡くなる一年前、なんとか生きようとしていた女性を活写するモノクロームが美しい。
ロミー役のマリー・ボイマーが本人に激似かつ迫真の演技で胸痛ましく、カメオ出演のドニ・ラヴァンとヴィッキー・クリープスに嬉しくなる。
‪ファンや記者からシシィ(彼女が演じたエリザベート皇后の愛称)と呼ばれるたび私はシシィじゃないと言うロミーが印象的。
Q&Aで、監督はどんなに歳やキャリアも重ねても、十代のキャリアでしか認めてもらえない辛さを想像してみてほしいと語っていた。‬
‪ドイツからフランスに渡ったロミーは祖国を捨てたと批判されたそう。
批判する人はドイツと彼女のオーストリア皇后の姿を重ねてもいたんだろう。
スポーツ界でも国籍や拠点変更で同じような批判を聞くことあるけど、人間を国の所属品みたいに言う態度まじ理解できない。‬
以下監督Q&A。
◎監督は撮影前に実際にロミーの女友達、記者ユルクス、カメラマンのレベックに会っていて、女友達は本人そのままに描いてほしくないとのことでフィクションにした。
◎ロミーの本は色々出てるがユルクスのものが一番よく、彼の新聞社とロミーの弁護士は同じ人物で、ロミーが財政難にあることを把握していた。
◎本の構成も、ユルクスのような記者のキャラクターに語らせて、ロミーの夫など周辺人物を批判してるのが巧みだなと思った。
◎ユルクスが一番若いので、記憶もはっきりしていた。
◎できた脚本も読んで20分で電話してきて(20分だからたぶん自分のとこしか読んでない)俺すごい嫌なヤツじゃん!って言うのを、彼は映画の中で一番変わるキャラクターだからと説明。
◎完成した映画を観た後は黙りこくり、やっと口を開いたら、とても感情を揺さぶられたようで、俺あんな嫌なヤツだった?と奧さんに聞いたら奥さんが答えなかったと。
◎会話は創作で、インスピレーションを得たのはレベックが撮った写真。レベックの撮った写真はバーのものが一番枚数が多かったそう。
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