いずぼぺ

ウトヤ島、7月22日のいずぼぺのレビュー・感想・評価

ウトヤ島、7月22日(2018年製作の映画)
3.7
ほとんど説明がないまま恐怖と寒さに押し潰される74分間に突入する。

誰なのか、何故なのか、どうすればよいのかなにもわからず逃げ惑う若者たちと並ぶ視点のカメラ。私たちとカヤの違いは寒さと泥。一緒に息を潜め、混乱し、銃声に震える。
戦争経験のない私たちには銃声と爆竹の違いすらわからない。泥まみれの森の中で身を守る術など知らない。冷たい泥の上で母親を呼びながら大量出血で死にゆく少女に何をすべきなのかなんてわからない。
肌を刺す蚊で生を感じるなんて。

あの事件の犯人は誰だったのか、何故だったのかは他の資料にあたるほうがいい。
本作は理不尽で卑怯な行為が何をもたらすのかの記憶。あの日、あの島での74分間の記憶。
140