木葉

子どもが教えてくれたことの木葉のレビュー・感想・評価

子どもが教えてくれたこと(2016年製作の映画)
4.1
紛れもなく良作。画面上から優しさや温かさが伝染し、心の奥底にある温かいものが自然に込み上げてくる。
5人の難病を持つ子供たちの等身大の姿を通して、ありのままを受け入れ、生きることの難しさ、命の重さを考える。
そこには病気だから、可愛そうねとか、立派ねとか言う言葉は当てはまらない。彼らは、我々の想像以上に過酷でハードな毎日を、蹴飛ばすくらいの無邪気さと、笑顔で生きている。‘悩み事は脇に放っておくか付き合いながら生きるしかないの’とか、‘自分を愛してくれる人がいるだけで良しとしなきゃ’とか、‘やりたいことをした方がいい、もっと命を信じなきゃ’という言葉は感動的だ。
肺動脈性肺高血圧症の芝居好きな女の子アンブル、腎不全で治療や透析のためにアルジェリアから移住して来たイマド、表皮性水泡症の友達思いのシャルル、わんぱくなカミーユや繊細なデュデュアルは神経芽腫を患っていながら、‘病気でも自分次第で幸せになれる’と言う。
監督自身も、二人の娘を難病で亡くした一人の母親だからか、あくまでも子どもたちと同じ目線で、余計な説明や過剰な音楽を加えない。
自分が置かれた状況を客観視し、幼きながらも大人より達観した、死生観、人生観、幸福観を持つ子どもたちから教わるものは大きい。
命は尊く重く、そして生まれた時から人は強い。痛みや苦しみを味わうからこそ、人に愛されるからこそ、人の気持ちに寄り添い、より愛を持った人間になれる。
胸を衝く感動があり、充電したような気分になれる魔法のような素晴らしい映画だ。
木葉

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