ぽち

チャーチル ノルマンディーの決断のぽちのレビュー・感想・評価

1.0
まず最初に言っておくがチャーチルがノルマンディ上陸に反対した史実はない。
それを無視しここまで盛大に盛りまくり美化してしまうとそれなりに美談に見えるから不思議だ。

ま、この手の擬似伝記をストレートに信じる人はいないと思うが、第一次大戦で参戦義務も無いのに熱烈に参戦を希望し独断で海軍動員令を出したり、西部戦線では「戦争とは笑顔で楽しみながらやるゲームである」と言い放ち、インド自治には猛反対、二次大戦では経済圧力で早期講和に持ち込もうとしたチェンバレン首相に対しどちらかが倒れるまで徹底的に戦うつもりだったチャーチル。

そんな戦争大好き人間が「若者の命がぁ~」なんて心配するとは思えない。もし彼がノルマンディー上陸に反対したとすれは、作品中でも触れている「もし失敗したら後が無い」ってことだ。

勿論まったく犠牲となる者を心配しなかったとは言わないが、その100倍負けを心配していたことは伺えるし、若者の死を嘆くのではなく戦力の半減を嘆いていたのだろう。

ちょっとでもそこらへんの歴史を知っていれば今作の盛大な美化が白々しく思えるのは当たり前で、それを承知の上で「もしチャーチルがこんな人だったらこんな苦悩をするんじゃない?」って言うフィクションとして楽しむ作品だろう。

ただこの擬似伝記にリアリティをつけたかったのか、うっかり本音が出たのか分からないが、階段での妻との会話が笑える。
「明日演説をしたら最前線で戦えなくなる。戦いをやめたら私は何になるんだ」

翻訳します
「大好きな戦争が終わっちゃったらもうやる事がなくなっちゃう。どうしよう」

どうせフェイク自伝作るならこのセリフはダメでしょ。
ぽち

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