ぶみ

博士と狂人のぶみのレビュー・感想・評価

博士と狂人(2018年製作の映画)
3.0
歴史はこの2人から始まった。

サイモン・ウィンチェスターが上梓したノンフィクション「博士と狂人 世界最高の辞書OEDの誕生秘話」を、P・B・シェムラン監督、メル・ギブソン、ショーン・ペン主演により映像化したイギリス、アイルランド、フランス、アイスランド製作の伝記映画。
世界最大の英語事典である「オックスフォード英語辞典」の誕生にかかわる人々の姿を描く。
辞典の編集主幹となるマレー博士をギブソン、編集に協力する精神科施設に収容中の元軍医である殺人犯マイナーをペンが演じているほか、マイナーに殺された男性の妻としてナタリー・ドーマー、精神科施設の看守としてエディ・マーサンが登場。
物語は、マイナーが事件を起こすシーンからスタート、以降マレー博士の辞典編纂計画の遂行状況と、彼に大量の資料を送ってくるマイナーとの交流が描かれるが、特にマイナーの狂人ぶりは中々の迫力で、ペンの確かな演技力に支えられている。
終盤には、プロジェクトに殺人犯がかかわっていたことから、政治を巻き込む問題に発展していくこととなるが、まあ、それもそうだよな、と思えるもの。
何より、辞典に掲載されている膨大な情報量や、編纂期間、そして殺人犯が協力するという事実には驚くばかり。
加えて、名脇役ともいえるマーサンが、本作品でも良い味を出していたのは見逃せないポイント。
マイナーとドーマー演じる殺された夫の妻とのやりとりについては、今一つ納得がいかないが、それもまた「事実は小説よりも奇なり」を地で行くものであり、辞典に情熱を注いだ人々の熱量と行動に驚かされる一作。

言葉の翼を持てば、世界の果てまで飛べる。
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