KUMA

華氏 451のKUMAのレビュー・感想・評価

華氏 451(2018年製作の映画)
2.0
原作はレイ・ブラッドベリの超有名SF小説。
フランソワ・トリュフォーが過去に映画化しており、今作は現代風のリメイク作となる。
全体主義、社会主義をベースにした思考統制。
ディストピアものではよく描かれる設定である。
有名ディストピア小説「1984」でも似たような描写があり、民衆の思考を統制するために言葉を奪う、若しくは既存の言葉を新しい言葉に置き換える方法を取っている。
複雑な感情を呼び起こす言葉を簡素なものに置き換えることで、政府や権力者に対する反抗心を芽生えさせまいとしているのだ。

さて、この映画の問題はそこにある。
原著や過去の作品と比べて本質が簡素すぎるのだ。
想像の余地もない程に。

多角的な観方をすることができず、この映画そのものが、映画の中の政府と同じ在り方をしている様に感じた。

一方で、言葉を簡素化した記号混じりの文章や、ビッグブラザーよろしく民衆を監視する装置などの表現は面白かったが、既存のアイディアの焼き直し感は拭えていなかった。

果たしてリメイクをする必要が本当にあったのか、疑問が残る作品だった。
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