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ライトハウスのkouのレビュー・感想・評価

ライトハウス(2019年製作の映画)
4.5
閉塞感のある画面と、二人の登場人物の狂気、グロテスクでおぞましい映像。ある世界のある深淵を覗いたような、見ている観客も引きずり込むような、そんな作品であった。前作の「ウィッチ」を見た時も没入感がすごくあったのだが、今作もより深く、闇に飲み込まれるような感覚があり、終わった後も引きずってしまう。

どんどんエスカレートしていく狂気、現実と妄想、次第にその協会が薄れていく。男二人の閉鎖された空間、酒に常に酔わされ、台風による過酷な状況が続く。その加速感、そしてある男が狂気の中である行動に移るまでを恐ろしく容赦なく描く。

本作で描かれるのはある種の男性性、男同士のどちらが優位に立てるかという争いである。荒っぽく、常に相手を責め立てるウェイク(ウィリアム・デフォー)は、ウィンズロー(ロバート・パティンソン)い劣等感を植え続けていく。その果てに錯乱していくのだ。

父と子、父殺しの物語ともとれるし、同性愛としてのエッセンスもあるだろう。まさに男性器を象徴させるような灯台に彼らはとりつかれたように執着する。さらに神話を織り交ぜることによって、多層的に多くの考察をすることができる作品になっている。その重厚さ、人間の狂気を描いた恐ろしくも頭から離れない作品だった。
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