ロックウェルアイズ

ライトハウスのロックウェルアイズのレビュー・感想・評価

ライトハウス(2019年製作の映画)
4.8
孤島に灯台守としてやってきた、老いたベテランのトーマス・ウェイクと若き新人のイーフレイム・ウィンズロー。
孤島の灯台に男2人という極限状態の中、酒に溺れ理性を失っていき、次第に“謎が満ちていく”

非常に不思議な体験をしたという感じです。
全編モノクローム、ほぼ正方形のアスペクト比、不気味な音楽、ウィレム・デフォーとロバート・パティンソンによる狂気の2人芝居、神話的で神秘的な世界観、エログロ…
色々な要素が独特な世界観を作り上げている。
終始不快で不気味で胸糞悪い。
こんな嫌な映画なかなか無い。
怖くて居心地悪くて開始10分くらいで退場したくなる。
けれど呪いのように動けなくて、頑張って観るしかなく、何度も死にたくなりました笑
そんなこんなで頑張って途中からは少しだけ慣れて、ゾクゾクモヤモヤしながらなんとかエンディングまで辿り着きました。
そして映画館を去る途中、あら不思議!
映画を観た実感が全然ありません。
確かに内容は覚えていますが、あんなに辛かった地獄の109分が嘘のよう。
むしろそんな虚無感からもう一回観たいとさえ思っていました。
あれは現実だったのか夢だったのか。
まるでこの映画の傍観者ではなく登場人物かのような気持ちにさせられる。
なんかすごいです、この映画。

ストーリーは難解。
やはり神話が絡んでいるらしく、実話を元にもしているらしい。
ただ、その知識がなくとも充分楽しめると思う。
「ここはどこだ?お前は誰だ?」
人魚というのは男たちの抑え込まれた性の具現化なのか?
ウェイクの言う通り、そもそもこの状況は本当に現実なのか?
海鳥と人魚と灯台、酒と螺旋階段と灯室。
灯台や酒瓶は男性器、光は女性器のオマージュだとか。
「What?」の押し問答はじめ、印象的なものや場面、台詞が多い。
ストーリーの確認含め、(観たく無いけど)いずれ観返してみたい。
それにしても全体的に暗い雰囲気故のラストは圧巻。
気持ち良いとも悪いとも言えない、なんとも言えない終わり方。
映像、音楽から滲み出る恐怖や不快感にめげずに、是非ラストまで頑張って欲しい。