NoriO

ライトハウスのNoriOのネタバレレビュー・内容・結末

ライトハウス(2019年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

【総評】
A24製作のサイコロジカルホラー。
監督は「ウィッチ」のロバート・エガース。

主役2人の怪演がすごい。。。
目に宿る野性味や鬼気迫る表情などから推察するに、撮影も過酷だったんだろうな。。。
余計な色もなく、全編白黒。2人以外に登場人物もほぼおらず、こちらは良い意味で2人に集中せざるを得ない。

ベテランと新人、海と陸、男と女、正気と狂気、現実と妄想、光と闇、といった対比構造が個人的には目についた。
序盤はしっかり別々のものとして描かれているんだけど、中盤・後半あたりから境界線がブレンディングされて、あいまいになっていく。
ある意味、ロバート・パティンソン演じるキャラクターの精神状態が壊れていく様を表しているのかもしれないと思った。
孤島、アルコール依存、欲求不満、ストレスなどが積み重なり、心の均衡が崩れていく。想像するだけで発狂しそうだ。

人によっては様々な解釈ができる映画だと思う。
個人的には、ウィレム・デフォー演じるトーマスは既に序盤で死んでおり、イーフレイムが見ているのは妄想だという可能性もあると思った。
ベースとなった実話では、片方が亡くなったことで、もう片方が発狂したみたいだし。
クトゥルフ神話とか、ギリシャ神話も参考にしているらしいので、もっと解釈の幅も広がるのかも。
いやー面白いなー。良作でした。



【個人メモ】
ふと、"一般的なホラー映画"と"サイコロジカルホラー"ってどうやって分類するのかを考えた。
自分の中で行き着いた結論が、"視覚的恐怖"と"精神的恐怖"。
サイコロジカルって言ってるくらいだから、精神的恐怖ってまんま直訳なんだけど。。。

一般的なホラー映画って、基本的に視覚情報を基に恐怖を感じさせるんだろうなぁっていうのは新しい気付きだった。
極端な話、無音で観ても物語は何となく理解できるだろうし、通常同様恐怖も感じるんじゃないだろうか。
逆に絵がないと、その恐怖は理解できない。

一方サイコロジカルホラーの場合は、視覚情報ももちろん巧みに使っているんだけど、そこがメインではなく、
入り込むと抜け出せない迷路のようなダイアログ、出演者の表情に感じる微妙な違和感、安心感を与えない音楽など、
複合的な要素を自分の中で解釈した結果生まれる不快感を楽しむ映画なのだと思う。
加えて、多くのサイコロジカルホラーは展開の予測がつきにくい(だからこそ楽しいのだが)。
予測がつかないという事は、それだけストレスを生じさせることにもなるため、先の不快感と合わせ、心理的負荷をかけている。
私自身を含め、このジャンルが好きな人たちはそんな心理的負荷をあえて楽しみたいという、ある種マニアックな趣向を持ち合わせているのかもしれない。
NoriO

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