Mariko

ライトハウスのMarikoのレビュー・感想・評価

ライトハウス(2019年製作の映画)
4.2
カテゴリーにはホラーとあったけれど、これホラーなんだ?まあホラーって何よ、と言われると曖昧なイメージでしかないんだけど。

ストーリーは(最後まで観てみると)実は案外シンプルに思えて、外界から隔てられた場所で二人の男が狂気に駆られて死んで行くプロセスを描いた、って考えていいのかと。このプロセスがどこからが妄想幻想、狂気が見せるせん妄でどこまでが現実か誰目線なのかがわからなくなるのでシュールに見えるけれど。

ただじゃあその見せられているものが何を表しているのか、は非常に難解で、暗喩に満ち溢れているのだろうけれど明確にわかったものは殆どないと言って良い。
序盤では孤島の灯台周辺に立ち込める暗い空気と低く重く響き続ける霧笛から、ずっとブラッドベリの『霧笛』が思い出されていたのだけど、粘度が高まっていったのでだんだんブラッドベリ(もナシではない)よりポー風味が強いかなと感じる趣に。

登場人物は(ほぼ)二人のみ、全編白黒、セリフも聞き取りにくい(これ英語?と思う事しばしば)、と与えられる情報量は非常に少ないけれど示唆されるものが多いであろうことは明確なので観ていてものすごく疲れたし、モノクロで緩和されてはいるものの結構醜悪な描写も多い。それでも観続けられたのは偏にデフォー、パティンソン二人の存在感、特にウィレム・デフォーはその顔立ちの陰影だけで画面が保っていたのでこのキャスティングした人凄い。
好きか嫌いかでいうと大好きとは言い難いと思いつつ、(真価は現時点でおそらく半分もわかっていないけれど)作品としては素晴らしい。

さて、暗喩を解く旅(考察さがし(笑))に行ってくるか。
Mariko

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