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環状線の猫のようにのEyesworthのレビュー・感想・評価

環状線の猫のように(2017年製作の映画)
4.6
【ローマの真実】

リッカルド・ミラーニ監督のイタリア映画。

〈あらすじ〉
ジョバンニは欧州議会のシンクタンクで、イタリア各都市に広がる郊外の貧困を解消するために調査をしている。 ブリュッセルから自宅のあるローマに戻ってきたジョバンニは、13歳の娘アニェーゼから恋人ができたことを告げられる。 その恋人というのは、郊外の中でも治安の悪いバストージに住むアレッシオだった…

〈所感〉
この作品のようにお互いの営む生活のギャップをエンタメにした作品は多くあれど、イタリア、それもローマにもこのような深刻なし格差があるとは知らなかった。どんな都市にも中枢と辺境は存在するのか。モニカとジョバンニが見ている世界は全く違うことがわかる。それでも2人は最終的にお互い分かり合おうとする。数字や統計でしか貧困地域の現状を知らなかったジョバンニはバストージに行って本当の意味で歩み寄ることに成功する。それはどんな立派な政治家でもシンクタンクでも容易なことではない。最後までタイトルの「環状線の猫のように」はあまり意味がわからなかったが、人情味もユーモアもアイロニーもあってとても面白い作品だった。もう少しお互いの家族を掘り下げられていれば良かったかも。
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