凄惨な現実が、冷たい社会が、少年と少女のあいだに作ってしまったかべはあまりにも大きい。
それなのに、ふたりの夢は何度引き離されようと、また引き付け合う。
現実はルナやジュゼッペの叫びを物ともしなかったが、ふたりの想いはその現実すら物ともしなかった。
あまりにも美しい鎮魂歌。
事実に基づいた〜という作品はあまり好きではないのだが、そういった作品群の中で珍しく、幻想的で美しい映像で、事実という面で売るのではなく純粋な映画として勝負している印象を持ち鑑賞。
後味は決して良くはないが、今年の映画鑑賞の最後を飾るに耐え得る体験をさせてもらった。