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エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へのyumeayuのレビュー・感想・評価

3.5
『グッチー!』

タイトルの“エイス・グレード"とは、直訳すると8年生という意味。日本でいう中学生3年生にあたる学年を指す。

主人公のケイラは中学卒業を間近にした思春期真っ只中の女の子。
PCを前にYouTuberを気取ってみせるが、視聴回数が散々な悲しい状況である。

とにかく自意識が過剰に敏感になるお年頃。自らの動画では一丁前なことを語っているが、現実はそうはいかず。なりたい自分と、殻を破れない自分に悩む毎日を過ごしている。

大人になってみれば、10代の悩みなんてそう大したことないものと気付くけど、13歳の女子にしてみればめちゃくちゃ深刻なこと。
僕は男性だけど、思い返せば自分も彼女のように10代の頃は周りの目や他人と比較してばかりだったなぁと、なんだか恥ずかしくて悶絶してしまった(汗)。
イケてるグループになんとか入り込もうとして、ひたすら愛想笑いしながら、明らかに浮いてるなぁと気付く瞬間とか、もう恥ずかしすぎて見ていられないのである…。

しかし、僕が10代だった頃と圧倒的に違うのは、今の子供達には至る所に悩みを増幅させるようなものがたくさんあること。
とくにスマホ(ケイラのスマホは画面がバッキバキでしたねww)。
劇中、ケイラだけではなく、登場する少年少女たちはみんなスマホを手にしている。
学校でもずっとスマホ。いつでもスマホ。
アメリカは授業中でもあんな自由なのか?
銃乱射テロの避難訓練なんて、アメリカならではの文化にもびっくりしたが、そんな時でさえスマホから目が離せないのはもっとびっくりした。

YouTubeにインスタ、その他SNS…。
とにかくスマホがある以上、無数に情報が手に入ってしまう世の中。
夜ベットでダラダラと見てしまう動画の数々。陽キャたちの楽しそうな動画を見ては気が滅入る有り様…。

今の10代はスマホという超便利アイテムがある一方で、それによって悩まされるのはなんだかかわいそうだなと思ったりしました。
他人と比べてはうんざりして、自分を見失ってしまいそうになるけれど、結局のところ"自分らしく"なんて、大人になっても分かっている人はそういないので、実はそんなに深刻に悩むもんじゃないんですけどね。

物語のラスト、ケイラのパパが彼女に拙い言葉ながらも真剣に思いを伝えるシーン。
僕も娘を持つ親なので、すごく共感してしまった。あれ程親の気持ちを代弁してくれたシーンはないだろう。

数年後、僕もケイラのパパのように思春期の女の子を相手にらしなければならない。
果たしてうまくやれるのだろうか…。
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