Inagaquilala

エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

3.7
「エイス・グレード」とは、たぶん「8年生」の意味。中学生活最後の1週間を迎えた、「クラスで最も無口な子」に選ばれたケイラが主人公だ。古くはジョージ・ルーカス監督の「アメリカン・グラフィティ」、最近ではグレタ・カーウィグ監督の「レディ・バード」など、「卒業」と「出発」を描いた青春映画は多いが、この作品は前出の2作が高校生を登場人物としていたが、それよりも年齢は低く、日本で言えば中学生の不安や葛藤を描いたもの。監督はYouTuber出身という経歴を持つコメディアン、ボー・バーナムで、いかにも彼らしく、生まれたときからウェブサイトやSNSが存在する「ジェネレーションZ世代」のドラマを描いている。

主人公のケイラを演じるエルシー・フィッシャーがキュートだ。中学生の、それもアメリカのローティーンたち気持ちや行動は、もう自分の理解の範疇を超えているのだが、さすがYouTuber出身の監督らしく、デジタルやSNSを駆使しして、デリケートな彼女の心情を描いていく。そういう意味で言えば、新しいタイプの青春作品かもしれない。でも、やはりこの作品で描かれている自分を取り戻す闘いというのは、いつの時代でも、青春ドラマの定番なのだなとも思った。あの「ROMA/ローマ」のアルフォンソ・キュアロン監督が絶賛しているのも、なんとなくうなずける気もした。スタジオ「A24」の作品。
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