のっち

祇園祭ののっちのレビュー・感想・評価

祇園祭(1968年製作の映画)
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足利政権下、祇園会が途絶えて30年後の室町時代。税に苦しめられた農民は、土一揆を起こし京の町を焼け野原にし、町人は六角堂で警鐘を鳴らして、一揆を恐れ武士を頼りに暮らしていた。念仏踊りが流行る中、今生での救いはあるのか。
やたらクローズアップで中村錦之助と岩下志麻が映され、戦の場面では赤い画面やスローモーションを駆使して、町民と農民の無意味な代理戦争が繰り広げられる。
仁義なき戦いを終わりにしようと、河原者と馬借の力を借りて、虐げられる者たちがお上に逆らおうとするところからがやっと本番。岩下志麻を始め劇画的な演技の中に三船敏郎が混ざることで、画に説得力も出て、単調なクローズアップから引きの構図が増えて落ち着きを取り戻す。
長刀鉾が完成し、虐げられてきた身分の者が四条通を堂々と歩く様は身震いする一方で、蓮見清がいることで、これは町人の祭りであることを思い出させてくれる。
映画としては長尺で正直見るのがキツかったが、祇園の鉾もなく、大文字も万全な点火ではない今年に、それら2つを大きなスクリーンで鑑賞できたことは良い思い出になるだろう。
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