シネラー

劇場版シティーハンター 新宿プライベート・アイズのシネラーのレビュー・感想・評価

3.5
劇場最新作の前に前作の本作を再鑑賞。
公開時にも劇場へ赴いたが、
新しい絵柄であっても
昔と変わらない『シティーハンター』に
嬉しさを感じさせる数十年振りの映画だった。

新宿のスイーパー"シティーハンター"
こと冴羽獠のもとに謎の組織に追われる
進藤亜衣からの依頼が舞い込み、
同時に獠の相棒である槇村香は
好意を寄せられる幼馴染と再会する
内容が展開されていくが、
懐かし味あるファンサービスの中に
新鮮さもある王道な
『シティーハンター』で良かった。
美女を守る冴羽獠という
お決まり展開に加え、
獠と香の素直じゃない間柄の
信頼関係が描かれており、
最後に二人がみせるコンビプレーと
アニメ初代オープニング
「CITY HUNTER~愛よ消えないで~」
の挿入は素晴らしかった。
女性へなびく獠に100tハンマーを
振りかざす香といった相変わらずの
ギャグシーンも健在で、
その上で現代の新宿を舞台として
ドローンやスマホ等を用いた近代要素
を上手く入れ込んでいるのは新鮮味があった。
そんなギャグとは打って変わっての
シリアス場面における獠の
ガンアクションは格好良く、
ショットガンからお馴染みの
コルトパイソンを用いてドローン兵器を
無双するのは描写も含めて良かった。
又、全編通してTVアニメ版の楽曲が
まんべんなく挿入されており、
結末での「Get Wild」に
「STILL LOVE HER(失われた風景)」
のメドレーと過去エピソード映像は
とても嬉しい部分だった。
そして、昨今でもアニメ作品のリメイク
や新作に伴う声優変更も多い中、
20年以上経過しても続投している
声優陣には有り難みしかないところだ。

不満点としては、
獠のライバルでもある海坊主の活躍が
コメディ中心だった為、
そこはシリアスな格好良さも
欲しいところだった。
終盤における獠が対峙する相手が
ドローン兵器という点も残念で、
現代的ではあるものの味気なさもあって
物足りなく思えてしまった。
又、原作者繋がりでキャッツ・アイの
三姉妹が登場する嬉しさはあるが、
活躍が無理矢理に入れ込んだように
思わない事もなかった。

かつて冴羽獠に憧れる小学生だった身として、
お馴染みの面々の活躍に音楽を存分に
堪能できる清々しいファン映画だった。
初見であっても『シティーハンター』の
お約束や魅力が詰まっているので、
入門映画としても良いと思った。
シネラー

シネラー