チッコーネ

ホイットニー~オールウェイズ・ラヴ・ユー~のチッコーネのレビュー・感想・評価

4.0
「救いがない」というのは本作の前評判だが、同じ予定調和でも「感動的」、「泣ける」といった前評判よりは、なんぼかマシ。
禍々しいショウビズ・バビロンエピソード満載のドキュメンタリーで、『ボヘミアン・ラプソディ』の10倍は楽しめた。

ディーディー・ワーウィックによる性的虐待の事実、そして長期に渡り恋人(女性)がディレクションを担当と、ビアン要素がここまで付きまとう人だったとは。
また「明らかにラリっている姿」、そしてシワ枯れのダミ声で必死に大ヒット曲のメロディをなぞる「ヤク抜き後の肥えた姿」は、かなり凄惨な見世物になっている。

全盛期の彼女は「保守の象徴」といった趣で、どちらかというと不快な存在だったが、計算ずくの虚像であったうえに、実像がこんなにも荒んでいたとは。
自分もしっかり騙されていたわけだが、本作を観たことで以前よりも、グッと彼女に興味が増した次第。強靭なトランペット・ヴォイスを誇った、見事なドラマクイーンである。