回想シーンでご飯3杯いける

ホワイト・ボイスの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

ホワイト・ボイス(2018年製作の映画)
3.6
人によって見え方が全然違うであろう作品。

少し前に、渡辺直美をオリンピック開会式で「オリンピッグ」として打ち出す演出が問題になった事があった。日本人的には「可愛いから別に良いじゃん」って思う人も少なくなかったみたいだけど、欧米なんかでは、まず「〇〇に似ている」という発想自体が侮辱になるし、その形容が動物だったりするのはかなり差別的意味合いが強い事になるわけで、仕事で海外の人と話す機会があるような人なんかは「オリンピッグ」なんてとんでもないと感じたはず(僕もその1人)。

この「ホワイト・ボイス」という映画も、見る人によってはポップなコメディに見えてしまうかもしれないが、その影に人種差別に対する鋭いメッセージが隠されている。冒頭は、テレアポの仕事を始めた黒人青年が先輩から「白人声」を教えてもらうエピソードからスタートする。「白人の真似をして金を稼ぐ」という時点で、もうかなりブラックな笑いだ。

そして後半には「黒人と、とある動物」という並べてはいけない2つを軸に話が展開する。これ、アメリカだとかなりヤバい表現だと思う。特殊メークや演出がチープなので(生々しさを抑えるために敢えてそうしたのだろうと思う)辛うじてコメディとして鑑賞できるけど、実は凄くメッセージ性の強い映画だ。監督のブーツ・ライリーはラッパーや社会活動家でもあるらしい。