ろく

私の奴隷になりなさい第2章 ご主人様と呼ばせてくださいのろくのレビュー・感想・評価

3.8
もう「渚のシンドバッド」に全て持ってかれました。

70~80年代のポルノは結構見ている方だと思っているが、なんだかんだで神代辰巳が好きなんですよ。特に興が乗ってきたときに急にかかる歌謡曲。あれだけで僕はぐっと来てしまう。ここでこの音楽を流すかって。よく24なんかの映画では格闘シーンで音楽を(しかもエモいの)流すけど、神代はそれをずっと前からやっていたんだ。「悶絶どんでん返し」で急に流れる「あんたがどこさ」(矢野顕子)なんかもう全て持っていかれたの。

だとしたらこの映画は「渚のシンドバッド」だよ。これが劇中でかかるだけでもう何もかも持っていかれ、さらにエンドロールでかかったときはもうダメだ。なんて選曲かますんだって思ってしまった。

あとね、これみんな気づいているかわからないけど、城定はコンドームの装着をしっかり入れるの。僕が知っている映画作品でコンドームの装着をいれるのって城定だけなんだよなぁ(ヤンキーヘルパーでもしっかり入れていたよ)。このリアルさなんだよ。だってどうせ挿入しないからそんなのなくてもいいのにそこを持ってくる城定のこだわりに僕は拍手ですよ(何見ているんだお前と言う指摘は却下)。

主役の行平あい佳はこれ以上ないくらい「幸薄い」顔。そんな彼女が徐々にイニシアチブをとってくる。毎熊は最初、弄んでいるのにいつのまにか弄ばされて。そうおなじみの「刺青」作品。まあ作者がサタミシュウなんで谷崎といっしょか(谷崎マンセー)。耽美派が考えることはどいつもこいつも一緒だよねと思いながら「刺青」大好きなんでついつい見入ってしまう。

やっぱり面白かった。城定の作品は映画なんだよ。言葉では伝えられないことをどんとついてくる。3作目も観ちゃおうかしらん(たぶん見る)。
ろく

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