れもん

チワワちゃんのれもんのレビュー・感想・評価

チワワちゃん(2018年製作の映画)
5.0
なかなか面白かった。
けど、多分もう少し若い時…大学生くらいの時に観た方が深く刺さった気はする。
ちなみに、母と妹と三人で観たけど、恐らく母には全く刺さっていなかった。笑

ミキにとってのチワワみたいな存在…自分の完全上位互換みたいな存在って、生きてたら一度は出会う存在だよなー、とか思いながら観てた。

ミキ目線じゃなくてチワワ目線で考えると、女には嫌われないように気を遣って、男には好かれすぎないように気を遣って、好きな男には愛されたいのに愛されなくて、沢山の人に愛されているようで誰にも愛されていないのが自分でもわかってて…
チワワってものすごく孤独な女だったと思うから、殺されなくても自分で死んでたかもしれない。
でももしかしたら愛してくれる存在に出会って幸せに生きることもできたかもしれない、のに死んでしまった。

ミキにもチワワにも感情移入できる女は少なくないんじゃないかな。
女はミキになったりチワワになったりしながら大人になっていく気がする。

岡崎京子の漫画が原作の映画は今作と『ヘルタースケルター』しか観てないんだけど、岡崎京子って「寝取られ」的なシチュエーションが好きなのかな?
どっちも原作は読んでないけど、やたらそういうシチュエーションが出てくる。笑

ミキにとってのヨシダ、ナガイにとってのチワワ。
自分には手に入らない、だけど惹かれてしまう、だけどやっぱり自分には手に入らない存在。
でも、そんな存在を簡単に手に入れる存在もいるっていう。
ミキにとってのチワワ、ナガイにとってのヨシダやサカタ。
切ないし、えぐい。
でも、チワワは多分本当に欲しいものは手に入れられないまま死んだんだと思うけど。

毎日のように集まってた仲間と少しずつ会わなくなっていって今では連絡もとれない…みたいな関係、自分にも沢山沢山沢山あるから、そういう関係も想起されてエモかった。

他の人のレビューをちょこちょこ読んでいたら、チワワについて「なんにも考えていない」とか「みんなに愛されていた」みたいに書いている人が割と散見されて、自分とは正反対の受け取り方をした人も居るんだなあ、とか思った。

【2020.02.01.鑑賞】
【2020.11.16.レビュー編集】
【2022.01.01.スコア訂正4.5→5.0】
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