あさのひかり

止められるか、俺たちをのあさのひかりのレビュー・感想・評価

止められるか、俺たちを(2018年製作の映画)
4.2
まず思ってしまったのは、映画作りにこんな熱い情熱かけてる人達を見たら、こんなとこで好きだの嫌いだの合うだの合わないだの言って、ちまちま点数付けてる私って何やってるんだろう、映画への愛ってこういうことなんだ、ってこと。

この時代のこのジャンルの映画を観たことはないけれど、予算ないなかあれこれ工夫しながら映画を撮る光景を観るのは新鮮だった。シュールにも見えるけど、情熱がないとついて行けない若松プロの現場。

ところどころで語られる映画論も、なるほど、と思ったというか、「今でも全然そうじゃん!」と思ってしまったことも多々あったし。

そんな場所で、ピンク映画なんか撮ってたりもして、いかにも男臭い若松プロに女性でひとり所属するめぐみが主役。女としての甘えが全くなくて、むしろ男性的なスタイルで働いて自分の生きる道を模索するめぐみのなんとかっこいいこと。でも、それが彼女の全てではなくて。

そして、その中で働く男たちもちゃんと 彼女に敬意を払ってた、女だからって甘えんな、みたいなダサい説教ぶちかますようななやついなかった(新人時代に会社にそんなおじさん達いたけど、今思うと下らないな、ってこの映画で思い出してしまった、男だからって威張れると思うんじゃないよ)。

結末は悲しいけど、あのシーンと更にあとのシーンで、若松監督がただの厳しい映画監督じゃなくて、下で働くスタッフ達への愛もある優しい人なんだ、って伝わってきてジーンとした。気骨ありつつも色んな愛に満ちた、何ともいい映画。
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