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止められるか、俺たちをのardantのレビュー・感想・評価

止められるか、俺たちを(2018年製作の映画)
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懐かしい名前が聞こえた。
大島渚、田村孟、佐々木守、佐藤慶、渡辺文雄らのいわゆる大島組の面々。自らの政治信条に基づいた独自の視線で、映画評に新鮮な世界を切り開いた松田政男。重信房子、和光晴生、遠山三枝子らの赤軍派グループ。なかでも、消費社会的感性ゆえに、総括の対象となった遠山三枝子に。
もちろん、大和屋竺、荒井晴彦、足立正生らの若松孝二スタッフは当たり前として。

1970年から80年代にかけて、一端の映画青年だった私にとって、若松孝二の名前は、大島渚や松田政男らによる数多くの批評と、赤軍派とのかかわり合いなどのセンセーショナルなスキャンダルで、十分に識っていた。しかし、彼の作品を一度も観たいとは思わなかったし、結局は最近の作品も含めて一本も観てはいない。

しかし、私はこれを観たら、泣くかもしれないと思った。それは杞憂だった。若松孝二の男目線でしかないハラスメント的言辞に、あるいは彼らが立脚した政治的な立場の動機の貧弱さに、うんざりした。

門脇麦があまりに新鮮で、魅力的だったことを除いては。
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