Inagaquilala

翔んで埼玉のInagaquilalaのレビュー・感想・評価

翔んで埼玉(2018年製作の映画)
4.0
「テルマエ・ロマエ」の武内英樹監督がひさしぶりに放った大ホームランかもしれない。とにかく「テルマエ・ロマエ」を初めて観た時のように、笑い放しだった。とにかく徹底的に「埼玉」をこき下ろしており、それが不思議な愛着にもつながるという妙なファンタジックコメディだ。物語の主体は、「都市伝説」として語られるのだが、それだけに、そこで展開されるエピソードはかなりデフォルメされており、自虐的かつ露悪的だ。この主題となるエピソードの外枠となる、熊谷から都心に向かって走る車中の3人(ブラザートム、麻生久美子、島崎遥香)の設定も秀逸だ。ここでリアルな笑いをとりながら、本体のエピソードでも手を緩めることなく、少々ブラックなギャグまで展開していく。

埼玉の旗頭として、千葉や東京と闘うことになるGACKTのキャステイングは見事だ。そして、そのうえにまた京本政樹を置くところも心憎い。他にも東京都知事役の中尾彬、謎の埼玉人を演じる麿赤兒など、バラエティ豊かな出演者たちも、すべて役柄にハマっている。ギャグとパロディの応酬であるこの作品が、登場週に興行成績の1位に輝いたことは意外だったが、それだけ日本でもコメディが受け入れられてきているのだなと思い、やや拍手だ。とにかく、もう一度、爆音上映で観て、思い切り笑い転げたい作品ではある。
Inagaquilala

Inagaquilala