キナ

翔んで埼玉のキナのレビュー・感想・評価

翔んで埼玉(2018年製作の映画)
3.5
ふんだんに散りばめられた土地ネタギャグにクスクス笑えて、徹底的なBL推しにニマニマ笑えて、熱い埼玉フューチャーにグイグイ胸掴まれて楽しい。

しかし川越をイジれ!!川越をイジッてくれよ!川越がいつ出てくるかとソワソワしていたのによ!
浦和とか大宮だけを埼玉の繁栄の象徴にすな!
小江戸川越ぞ?埼玉随一の観光名所ぞ?
蔵造りの風情ある街並みに可愛らしい和小物のお店、菓子屋通りは竹下通りに匹敵する人気、川越祭りの大盛況っぷり、コエドビールと黒豚ドッグはドイツでも通用する美味さ、氷川神社の風鈴、干し芋とふくれ煎餅が名品で鰻屋も多く、マルヒロとアトレと若者集まる商店街クレアモールもあるんだぞ!
2009年には朝ドラ「つばさ」(めちゃくちゃ不人気だったし川越の民である私の祖父母もつまらんと言っていた)の舞台にもなったのに!
人生の半分以上東京に住んでいるが2ヶ月に一度以上川越に帰る身としては、戦闘作戦の際に最前列とはいえ特に目立った発言もせずアゲもサゲもされない川越の扱いは悲しいのである。
埼玉内では…いや!埼玉にとどまらず!日本内において!目立っている街だから絶対イジられるだろうな〜とニヤニヤ期待していたのに。

というゴリゴリの勝手な私情により若干がっかりしたものの、ちゃんと楽しめる映画だった。
ツッコミ出したら負けなストーリー、胸熱展開もあれどあまり大きな魅力を感じなかったのはいささか残念だが。

若干ダレる話の進みにギャグのアクセントが効いて、飽きずに観られた。
テンポは良いし好きなポイントも多いのに、いかんせん私の嗜好の方向性がこの作品の本筋と少し異なっていたのかも。

時代劇と現代劇のハイブリッドのようなつくりが面白い。
都市伝説的に語られるメインパートよりも菅原家のやり取りの方がグッときた。
埼玉愛のある父親、東京にゴリ憧れる娘、まさかの千葉県人な母親、この三つ巴の関係性がなかなか面白く、挙げ句の果てのラストには思わず唸った。

埼玉vs千葉の有名人カード対決ほんと好き。
欲を言えばここに秩父の藤原竜也を入れて欲しかったが、まあ彼の立ち位置的に難しいか…。
YOSHIKIの都会指数が低いのはめちゃくちゃ笑った。そういえば出身地の駅メロが紅になったんだっけ。

めちゃくちゃチョロく恋する少年百美がとにかく可愛い。
麗様も阿久津もかっこいいし、埼玉デューク(名前がダサい)のクール加減も好き。
セクシーな海女さんコンビも銀髪美少年コンビも目の保養で好き。

埼玉や千葉、所謂「二軍、三軍」な都道府県を本気で見下しているわけでなく、ネタ的に扱える空気だからこそこの映画が楽しまれている最もたる所なのかも。
小競り合い繰り返しつつ認め合い貶し合い愛し合って生きていこうぜ。
元埼玉県人として嫌な気持ちにはなりたくないな、なんて思っていたけど杞憂だった。観てよかった。
もうみんな埼玉県人だから。みんなみんな埼玉県人だから。

でも川越はイジッて欲しかった。(まだ言う)

👌👌
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