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ビリーブ 未来への大逆転のsundayのレビュー・感想・評価

ビリーブ 未来への大逆転(2018年製作の映画)
4.5
1950年代末、60年前、ハーバードロースクールを出てもことごとく法律事務所では門前払い、40年前の自分の就職時を思い出し涙が出てきた。でもあきらめず一歩一歩道を切り開く主人公に元気をもらった。

50年前のアメリカ、男性の専業主婦は認められない、女性は自分名義のクレジットカードを作れなかった、という映画の紹介宣伝を見て興味が湧き見てみた。50年前といえば1969年頃、え?そうなの?という思い。当時中学生だったが、ウーマンリブのデモの写真が週刊の少女漫画誌にも紹介されていたが・・ 実態はそうだからデモが起きたのか?

ともあれ、50才の独身男性が痴呆の母を自宅で看ていて、勤めがあるので看護婦を雇ったところ、女性には認められるその費用給付が男性には認められない。なぜって看護は女がするものだから、という理由。ほぼ100%無理だと言われた裁判を勝ち取ったのが、この映画の主人公ルース・ギンズバーグだ。看護は女性にという性別の役割分担の発想が、逆に男性差別でもあった、というところがみそだ。

物語は1956年、ハーバード大のロースクールに入学するところから始まる。ここからして入学者500人に女性9人。学長は女性のみを招待しパーティーを開くが「男性の席を奪ってまで、なぜ入学したのか理由を話したまえ」というのだ。授業では手を挙げるも指されるのは最後で、しかもケチをつけられる。首席で卒業しても法律事務所は全て雇ってくれない。その理由が、事務所の弁護士の妻たちとの関係がうまくゆかないだろうから。事務所では妻を交えてのパーティーなどもあるようだ。断る理由はこじつけだろうが、当時はエリートを夫に持つ専業主婦と自立する女性との間にも溝があったのが窺える。

ハーバードロースクールの部長は10年かかって女性の入学を認めさせた一見開明派なのだが、件の介護裁判では敵に回る。エリートであるほど現状に疑問を持たず女性を一人前に見ていない描き方。これでもかという女性の不利な現状の描き方に監督は一体誰?男性でよくここまで描けるなと思ったら女性だった。

介護裁判で助けを求める先輩女性弁護士が貫禄たっぷり。なんとあの「ミザリー」で小説家を閉じ込めたキャシー・ベイツだった。とても理解ある夫役はアーミー・ハマー。「君の名前で僕を呼んで」ではなんだか間延びした感じがしたが今回はとてもいい。もちろん主人公役のフェリシティ・ジョーンズも毅然として着実に進む感じがよかった。しかし何より最後に出てくるギンズバーグ本人が最高だった。しかし恥ずかしながら初めてこの方を知りました。6月にはドキュメンタリー映画も上映されるようなのでそちらも見てみたい。


2018アメリカ
2019.5.12劇場で
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