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ジュディ 虹の彼方にのKuutaのレビュー・感想・評価

ジュディ 虹の彼方に(2019年製作の映画)
3.3
ジュディ・ガーランドが亡くなる半年前に行われた、ロンドン公演を軸にした伝記映画。見せ場となる歌のシーンはどれも良いが、それ以外は突き抜けた印象を受けなかった。私が彼女のリアルタイム世代ではない事、また何より飛行機で見た影響は否定できないが…。

ほぼほぼ予告の期待通り進む、真面目で手堅い作品ではある。同性愛への理解があったジュディを描くためか、ゲイのカップルと食事に行くシーンがある。あまりに暗い彼女の境遇の中で数少ない暖かさを感じられるものの、ここってフィクションだろうか?浮いている感じがする。

ドロシーがオズの世界に飛び込むように、若くして映画界に飛び込んだジュディガーランド。米国の国民的ヒロインとして愛され、それ故に苦しんできたが、映画の大半が英国を舞台しているので、彼女の若い頃の苦しみは一部の回想シーンでしか察する事が出来ない。ここが構成として物足りなく感じた。「英国人はジュディが大好き」だから予備知識も説明しない方針?眠れないから、大人にも成長できない辛さ。性的虐待の件も仄めかされている。

レネー・ゼルウィガーの演技が強烈なのは間違いない。ただ、個人的には、以前のラミマレックもそうだが、過去の人物の「完コピ」がオスカーを獲るのって、演技賞としてはどこか寂しい感じもしてしまう。

ジェシー・バックレイが演じたジュディのエスコート役の女性は良かった。真面目に丁寧に仕事に取り組む若手ではあるが、それ故に大物過ぎるジュディとの距離感は測りかねている感じ、横からそっと彼女を見つめている存在感。新人同然のジェシーとレネー・ゼルウィガーの立ち位置の違いを上手く重ねたのだろうか。66点。
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