「イップ・マン」シリーズに登場して、気になっていたチョン・ティンチを主人公にした、まさに「外伝」。イップ・マンに敗れ、いまは市井で食料品を営みながら息子と静かに暮らす主人公の前に現れる敵役。お定まりの設定ではあるが、これが妙に気持ちに馴染む。かつての日活のアクション映画や東映のヤクザ映画のような展開ではあるが、これがカンフーだと妙に納得がいく。やはり素手で闘うアクションだからかもしれない。
物語的には「イップ・マン 継承」の流れを受け継いでいるのだが、完全なスピンオフ作品となっている。オールド香港の町並みを思わせる舞台セットが、妙なノスタルジーも誘い、いつの間にか主人公の目線で、この町を眺めているから不思議だ。マックス・チャンが「イップ・マン 継承」から続いて、主人公のチョン・ティンチを演じていて、その深みのあるキャラクターとキレのある動きに魅了されてしまう。
