このレビューはネタバレを含みます
このまま道徳の教科書にもなるような、生き方の提示と現代社会の風刺のようにも感じた。
かつては(偽善であったとしても)村人のため戦うために人を騙していたタンクレディが、現代の場面では自分や自分の生活のために人を騙している。その変化はお金の有無で自分が変わってしまうからであるようにも感じた。一方でラザロが変わらなかったのはどんな状況に置かれても正直さで行動を決める心の在り方。
また村人にとって恐怖の象徴である狼がラザロと重ね合わされるように描かれていたのも印象的。真っ当に生きることが現代社会では訳の分からないことだとされているのかもしれない。
正直なラザロが金の集まる銀行で死を迎えるのも現代社会への風刺のよう。
教会の音楽がラザロについてくるという場面は心が震え鳥肌が立った。
観終えたときには感性が浄化され、映画館を出た時に、街がすごく新鮮に感じてクラクラしてしまった。
幸福ってお金があること?自由があること?それとも、正直に自分の心のあるがまま生きること?