らむず

幸福なラザロのらむずのネタバレレビュー・内容・結末

幸福なラザロ(2018年製作の映画)
1.9

このレビューはネタバレを含みます


 予告を見て気になり、カンヌ受賞ということもあり期待して観に行った。
が、期待しすぎたかな…。

 刺さる人には刺さる作品であるとは思う。
あと、キリスト教の聖人の知識が少しでもあれば楽しめるのではないだろうか。

 私は、アニメでもドラマでも主人公の人物に作中での自分の分身(感情移入しやすい人物)を求めている傾向があるタイプだ。
すべての主人公に感情移入しているわけではないが、主人公側の立場から神の視点で物語を楽しむことが多い。
 
 そういう意味でラザロには感情移入しづらかったように感じる。
嫌がらせやいじめまがいの事をされても、聖人である彼はけっしてやり返したりはしない。
周囲の人間がするすべての行動・言動を否定することなく受け入れる。
そんな彼の姿が小さい頃の周囲に対して無力だった自分と重なったのかもしれない。

 人間というものはラザロのように必ずしも聖人ではない。
利己的で自分勝手で私利私欲にまみれている。
劇中でのラザロの曇りないまなざしが痛いくらいに自分に突き刺さった。

 ラストシーンがくるまでは無事に終わりそうだなぁと思っていたが、銀行でラザロが袋叩きにされるシーンで映画が幕を閉じた。
感情移入・共感性羞恥持ちには本当につらかった。
映画館なので逃げることも難しい。
少しでも感情移入・共感性羞恥が和らげばマシになるのだろうか。
らむず

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