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COLD WAR あの歌、2つの心のkazataのレビュー・感想・評価

COLD WAR あの歌、2つの心(2018年製作の映画)
5.0
本年度アカデミー賞に複数ノミネート(監督・撮影・外国語映画賞)なこともあって公開を待望していた一作……これが期待以上の大傑作でした!
(撮影技術的にも物語的にも“エモかった”『ROMA』に対して、本作はどこまでも"堅実的"で“禁欲的”な印象を受けたわけで……映画としての完成度はどちらも高く、それでいて表現スタイルというか方向性が真逆に思える辺りに、改めて映画表現の幅広い豊かさを感じられました)

冷戦下で引き裂かれた男女の切ない恋物語……って単純な話っちゃお話なんだけども、そこにポーランドという国が歩んできた(他国によって何度も支配されてきたという悲惨な)“歴史”が重ね合わされ、それ故に二人の男女が選ばざるを得なかった“決断”の悲しさに、大感動せずにはいられませんでした。
(高校時代の世界史の先生がポーランド好きで、事あるごとに“悲しいポーランド史”ネタをいろいろと教えてもらったこともあってポーランドへの親近感があったからこそ、より感動できたのかもしれません…)

個人的に“郷土愛”とか“愛国心”って普段はあまり意識しないもんだけど、、、それを奪われた時にこそ強く意識できることなのかもしれない、なんて思いました。
(日本も韓国併合時の教育文化政策なんかでいろいろと押しつけてしまった歴史があるわけで……本作を見ると“やられた側”の恨みつらみは根深いよね、と改めて思います)

鑑賞しながらいろいろと深く考えさせられたこともありましたが……何はともあれ音楽がいい!
“オヨヨ〜♪”と一緒に口ずさみたい衝動にずっと駆られていました。
(第二次大戦後のポーランドの貧しい田舎を回って民謡的なフォークソング採集をする冒頭シーンからもう釘づけ状態だったのは、大学時代に民俗学の実習でフィールドワークをした体験を思い出したせいもあります…)

ロシア民謡って聴くと心踊る魅力ありますよね……
(緒方明監督の『独立少年合唱団』が久しぶりに見たいんだけども廃盤で入手困難!……あの頃DVD買っておけば良かったと激しく後悔!!)


余談ですが、現在進行形で社会主義思想的なプロパガンダ音楽や文化に触れてみたい!なんて思ったら……意外と近くに北朝鮮がありましたね(笑)
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