だいすけ

ブラック・クランズマンのだいすけのレビュー・感想・評価

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)
4.0
70年代の『黒いジャガー』などのブラックパワームービーを想起させる渋さと熱さがある本作。しかしそれに加えて闇深さもある。

物語の舞台は1970年代だが、エンディングでゾッとする。別にアメリカ社会の変遷を知っているわけではないけれど、歴史を経て差別はなくなりつつあり、着実に平和な世界へと収束しているのような錯覚があった。しかし、現実には様々な切り口で社会の分断が起きている。差別意識は無くなったわけではなく、社会の安定に伴って潜伏していたに過ぎなかった。自分の生活が脅かされると、不満の矛先は外に向く。「黒人やユダヤ人が仕事を奪った」と考えるようになる。もちろん、過半数はそうでないだろうが、過激な主張を唱えるトランプが大統領に選出されたくらいだ。

思えば黒人差別について扱った映画は多く観てきたが、KKKほど過激な白人至上主義集団をモチーフにした作品は初めて観た。ホワイトパワーとブラックパワーのクロスカッティングが、どうしようもない分断を感じさせる。

D・W・グリフィスは映画史に名を残す偉大な監督だが、本作の『國民の創生』に見受けられるように根強い差別意識があったようだ。この映画がKKKの創設に繋がったというのだから、映画、ひいてはメディアの影響力と社会的責任について考えさせられる。
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