観てよかった。
テーマは重く説明台詞も少ない為、誰でも気軽に見れるような映画とは言えないけども。
砂埃が舞う路上を虚な目をして歩くゼインの表情から、レバノンの実態を垣間見る事が出来ました。
難民や不法就労と言った社会問題が映画内でも彼の前に立ちはだかり、明るい未来が見えない境遇には流石に胸が痛む。
不法就労者ラヒルから預かった赤ちゃん、ヨナスの足に紐をくくりつけ、自分を追ってこさせないようにするシーンでは思わず涙が。
そして仕事も金も無く子供に稼がせてるくせに性欲だけは一丁前の毒親には怒りが込み上げてきた。
国の未来そのものであるはずの子供達から、ここまで笑顔を奪える国があるとは知らなかったです。
日本でどん底まで落ちたとしても、まだレバノンより人間らしい生活ができるはず。
「育てられないなら産むな」
という主人公の大人達への訴えはネグレクトや虐待をしている日本の大人達にこそ聴かせたい。
子供の幸せって生まれた国と産んだ親でだいたい決まるということをまざまざと見せつけてくる映画でした。
冗長なカットやひたすらゆったり重いBGMが多く、エンタメ色はほぼ無いのであしからず。