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イメージの本のmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

イメージの本(2018年製作の映画)
3.5
ジャン・リュック・ゴダールが、引用とコラージュ(切り抜き)を極限まで追求して、前作「Adieu au Langage(さらば、愛の言葉を)」でテーマとした"言葉"と対比するものとしての"イメージ"をパッチワーク的に綴った哲学的作品。
原題: Le Livre d'image 

ゴダールが「私たちに未来を語るのは“アーカイヴ”である」として、古今東西のさまざまな映画や絵画、文章から引用した無数の断片を巧みにコラージュしながら、暴力、戦争、不和などが支配する現代世界を綴った全5章の物語からなり、ゴダール自らがナレーションを担当している。
子どもたちや美しい海辺の映像など新たに撮り下ろしたものもあるようだが、映画のアーカイブでほぼ全て構成されている。
(5章)
1 リメイク
2 ペテルベルク夜話
3 線路の間の花々は旅の迷い風に揺れて
4 法の精神
5 中央地帯

「戦争は世界の法則であり、戦争は神聖だ」

「"書物の宗教"が我々の社会を築き、その文書は神聖化された。立法の石板、十戒、五書(トーラー)の巻物、聖書、コーランなどだ。必要だったのは、映像(イメージ)の書」

「たとえ、何ひとつ望みどおりにならなくても、希望は生き続ける」

ヌーベル・バーグ時代から新たな映像表現を追求してきたゴダールの現時点での到達点。
毛沢東を信奉し商業映画から遠ざかっていた時代を経て作られた(最近の)作品も、作家性を重視する地元フランスでの評価は絶対的。
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