serina

ドッグマンのserinaのネタバレレビュー・内容・結末

ドッグマン(2018年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

「不条理という名の下に」ってキャッチコピーに疑問。娘を愛する気持ちは揺るぎないだろうってのは感じた。でも、地元民との仲間意識はどれだけ強かっただろう。シモーネと物々交換と変わらないような馴れ合いビジネスをする地元民たちは、天秤にかけるほどなのかなとは疑問だった。

頭ではわかってたと思う。シモーネにドラッグを売ってもお金が返ってこないことや、シモーネがただの不良だってこと。それでも付き合いをやめなかったのは彼が優しいから?いやいや、わたしは違うと思ったよ。ドッグサロンだけじゃ、生計立てらんない、だめだって感じてたんでしょ。だから、シモーネが実際にドラッグに金を出すか出さないか以前に、これだけ売ったから、いくら儲けになって返ってくるんだとか思ってんでしょ。だから、いやいや善人ぶって強盗の車だししたときだって、最後に分け前をちゃっかり求めてたじゃん。残念だけど、シモーネは全然いいやつなんかじゃない。だけど、娘を愛してる。娘のために成功したいと強く思ってる。そこは確かだけど善で生きてないね。

不条理ってのは、テキサスで起きた銃乱射事件の被害者である子どもたちとか、ロシアから爆弾落とされた産婦人科の病院にいた妊婦たちに向ける言葉であって、シモーネに向ける言葉ではないね。やめてくれって思った。

人間っぽさ全開で遣る瀬無くなるけど、これもまた人生。この後、シモーネはまた刑務所放り込まれるよ。今度は本当の罪を背負ってね。そして、次戻ってきたとき、娘はきっとシモーネの前に姿を表すことはないだろうな。孤独で生きることになるだろうけど、もうその頃には慣れてるでしょ。
serina

serina