タイトルからジャケから、なんとな～くホラーっぽさをイメージして観たら、なんとも救いのないお話。
鑑賞後とてつもない虚無感に襲われる作品だった。
イタリアの寂れた小さな町でドッグサロン“ドッグマン”を営むマルチェロ。仕事仲間との食事やサッカーを楽しみ、犬と娘をこよなく愛する優しい男であり、また町の厄介者で暴力的な男シモーネの友人でもあった。
人懐こく優しい男マルチェロは同時に小心者でイヤと言えない臆病者でもある。シモーネに凄まれると意に反する事も全て飲み込み、挙句の果てにあろう事か罪までも、、、
自分を持たない行動は度を超えるとそれ自体が罪でもある。結果シモーネの狂暴さに拍車をかけた一因はマルチェロにもあったのではないだろうか。
最終的に人格がひっくり返ったマルチェロの狂気はある意味鑑賞前のイメージが本物となった瞬間だった。まさにグロさはホラー並だし、マルチェロの人間性が失われた瞬間でもある。もはや狂暴な犬と化したシモーネとそれを扱うマルチェロ。サロン内での攻防はゾクッとする程衝撃的だった。
そしてラストの救いのなさと絶望的な虚無感。
ああなる前にどうにかならなかったものだろうか、、、
